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連続講座第2回「東アジアの平和と民主主義」報告

【第2回】「東アジアの平和と民主主義」

日時:2024年1月14日(日)19:00~21:00 

李泳采(イ・ヨンチェ)さん(恵泉女学園大学教授)


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元々予定していた講師がケガの手術のため、李泳采さんが同じテーマで民主化運動記念事業会の活動を中心に、より幅広く韓国における民主化運動と過去清算の記憶・継承運動についてお話してくださいました。


今回の講座では、1980年の5・18光州民衆抗争や1987年の6月民主化抗争などの韓国の民主化運動について詳しく解説するとともに、その抗争を取り扱った映画やドラマなどから主だったシーンを取り上げて視聴することで、民衆たちの思いがより胸に迫るものとなりました。


「6月民主化抗争がなければ今の韓国社会はない」と言われるほど、韓国の歴史が6月民主化抗争の前と後でわかれるという話、光州民衆抗争で米国に対するイメージが変わったこと(植民地支配から解放してくれた恩人という見方から、軍事政権を支える敵という見方に変わり、反米運動・韓米平等運動に発展していったという話)、闘いや虐殺の現場にいたら果たして自分は残っていただろうか?という罪の意識から大学生の意識が変わっていったという話、87年の民主化抗争から市民社会ができ、その後、労働運動、教職員労組、農民団体、女性団体などが結成され、諸運動が活性化していったという話、民主化運動は軍隊に対抗するため、市民たちも暴力的な闘いにならざるを得なかったが、2000年代のキャンドルデモに象徴されるように平和的な闘いとなっていった話など、すべてが印象深く、とても勉強になりました。


民主化運動記念事業会は、民主化運動精神を継承·発展させるために2001年国会で制定された民主化運動記念事業会法により設立され、国家が運営をしています。当時のビラや証言などの資料収集、研究やプログラム運営などがなされています。資料館には90万件もの資料が保管され、写真などはすべてデジタル化、on-line化されているとのことです。国際交流や協力プログラムなどもあり、連帯事業もおこなっているそうです。韓国に旅行などで行く際はぜひ民主化運動記念事業会に足を運んでみたいですね。

また、映画『1987、ある闘いの真実』をご覧になった方は記憶にあるかと思いますが、過去の人権蹂躙と国家暴力の現場だった対共分室を民主主義と人権の場である「民主人権記念館」としてオープンに向けて取り組んでいるとのことでした。


最後に、「過去は過去だけのものなのか?」という講師の問いかけがあり、「現在の在り方が過去と未来を変える」「軍事的な安全保障ではなく、人間の安全保障を守ることが重要だ」というメッセージとともに、プラトンの言葉「政治に無関心な一番大きな罰は、一番質の低い人間たちに支配されることだ」で締めくくられました。現在の韓国大統領の傍若無人な政治にも腹立ちや呆れ、怒りを感じますが、日本社会の政治(歴史歪曲、金持ちのための政治、男女不平等などなど)や無関心な国民の意識にも通底すると感じました。


急遽講義を引き受けていただいた李泳采さんに感謝いたします。

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