キボタネ連続講座2025「戦後」80年って!?東アジアの視点で問う「戦後」80年 第3回 中国 の報告
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- 7月13日
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更新日:5 時間前
キボタネ連続講座2025 「戦後」80年って!?東アジアの視点で問う「戦後」80年 第3回 中国・山西省の報告
日時:2025年7月13日(日)19:00~21:00
講師:石田米子さん
連続講座第3回では、中国の山西省盂県西部に日本軍が侵攻して築いた前線拠点における長期の占領支配下で常態化した、日本兵たちによる組織的性暴力の被害に遭い半世紀を生き延びてきた女性たちとの出会いから、実際に現地農村に入って聴き取り調査を重ねて裁判をともに闘ってこられた石田米子さん(「山西省における日本軍性暴力の実態を明らかにし、大娘たちと共に歩む会」共同代表)のお話をキボタネ運営委員の山田泰史がインタビュー形式で伺った。最初に石田さんご自身の個人史90年のなかの「戦争」と「戦後」に関して回顧していただき、日本でよく言われる「日中戦争」など戦争の呼称と認識をめぐる問題を確認した上で、盂県西部の村々における日本軍の戦時性暴力の被害女性たちにとって生涯続いた「終わらない戦争」という本講座のメインテーマに関するインタビューを行った。
まず初めに、山西省盂県の農村に石田さんが通い続ける大きな動因となった、96年10月の最初の聴き取り調査時の二つの出来事が印象深く語られた。一つは石田さんが聴き取りを担当した尹玉林さんが、挨拶に立った調査団長の日本人男性の話す日本語を聞くやフラッシュバックを起こして全身の震えが止まらなくなった出来事、もう一つは石田さんが尹玉林さんの義兄で河東村の古老である楊時通さんから言われた言葉である。楊時通さんは石田さんに対し「あなたがたは来るのが遅すぎた。もっと早くに来ていれば、もっと酷い被害に遭った被害者がどの村に行ってもいたはずだ」と訴えられ、日本政府・日本人に対し「この村で犯した罪行について具体的な事実を知った上で謝罪しているのか」「日本政府が認罪し謝罪しない限り平和は訪れない」と語られ、農村に来たからには調査はいい加減であってはならず「実事求是(事実に即して是非を明らかにする)」でなければならないと要求された。石田さんは初めて被害の現地を訪ねた時のこの二つの出来事の衝撃から、農村での聴き取り調査に通い続ける決心をしたと語った。
それ以来、石田さんたちの市民グループが年2、3回の聴き取り調査と信頼関係の構築を重ねていくなかで、山西省の被害女性たちが50年間、被害を受けた村で生き抜かなければならないという条件下で抱え込んできた内攻する恥や責めの意識の呪縛と重圧を少しずつ打ち破りながら、自らの被害を被害として認識していく自尊感情の回復のプロセスの困難な道のりを一歩一歩踏みしめていき、彼女たちにとって「終わっていない戦争」を「出口气」(長い間の胸の中のわだかまりをみな吐き出す)しなければ「死んでも死に切れない」として、日本政府に対し公式謝罪と国家賠償を求める裁判(98年秋に10名の原告が東京地裁へ提訴)を闘い始めるに至った経緯の話を伺った。
次に、石田さんたちが一人ひとりの被害女性たちや当時を知る村びとから聴き取った証言から見えてきた、村における様々な対日協力機構(警備隊、自衛団、維持会など)を活用した日本軍の住民支配の構造と、石田さんが調査した占領された都市における日本軍性奴隷制の展開と連関し合う前線の村の部隊ぐるみの性暴力加害の全体構造について、盂県西部に築かれた日本軍の三つの拠点のうち河東拠点を例にとって説明した。
そして最後に、日本軍撤退後も生涯にわたり持続し反復される“人生被害”の傷痕を背負いながら苦難が連続する「戦後」「解放後」の人生を送った被害女性として、原告の一人である楊秀蓮さんの養母である南二僕さんの「戦後史」を具体的に取り上げた。南二僕さんは「解放後」の新中国の政治運動のなかで抗日戦争期の対日協力者として漢奸裁判に掛けられ、服役後も繰り返し「歴史的反革命」という政治的レッテルを貼られることで迫害の対象とされ続け、戦時の性暴力被害に起因する病苦に喘ぎながら非業の自死を遂げた。南二僕さんが「戦後」もこうむり続けたいわれなき受難は、中国全土に侵略の爪痕を残した日本政府が敗戦後も一貫して加害責任を逃れ続け、事態を放置・黙殺してきたことから発生した“継続的な侵害行為”であり、これら全ての損害が日本の国家責任に帰着すると石田さんは語った。世代を重ねても引き継がれていく山西省の農村の被害女性たちの「終わらない戦争」が終わらない理由は、日本政府が被害者に対して公式に認罪・謝罪・賠償を行わないからであり、今なお累積し続ける日本政府の義務違反を日本の市民が看過することなく、大娘たちの尊厳と公正を取り戻すための闘いを歴史の中に埋もれさせず、一人ひとりの被害者を記憶に刻み、闘いを継承していく必要性を確認して講座を締め括った。(文責:山田泰史)

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